( 2010.12.27 )


 民主党政権の農政破綻が決定的だ。 減反参加を前提にした農家への戸別所得補償が来年度さらに拡充される見通しだが、財政のバラマキ拡大にすぎず、強い農業の実現にはほど遠い。

 減反を廃止して自由にコメを作れるようにし、意欲的な専業農家に限って所得補償する方式に変えなければ、財政は続かず、農業再生も困難だ。

 減反が本来の目的の価格維持に役立ってこなかったことは、この10年で米価が60キロあたり2万円から1万3千円に低下し、農家収入が減少し続けていることからみても明らかだ。

 この間、耕作放棄地は増え続け、今では東京都の1.8倍の約39万ヘクタールに達している。 農家の平均年齢は65歳以上になり、農業人口は20年で半減した。

 それなのに民主党政権は減反をなお継続し、今年度から減反参加農家を対象に戸別所得補償として10アールあたり1万5千円を一律に配っている。 来年度は経営規模を広げた農家を対象に、規模加算としてその年限りで2万円支給するという。

 しかし、こうした制度のために全国各地で起きているのは農地の 「貸しはがし」 である。 専業農家に土地を貸していた兼業農家の多くが土地の返還を求めている。 自分で生産し所得補償を受け取った方が、地代よりも収入が多いと判断したためだ。 これでは専業農家は規模拡大ができなくなり、生産効率が落ち、所得も減少する。

 これまで高い米価と減反補助金という二重の負担を強いられてきた消費者もたまらない。 農家の規模拡大が進まず、生産費が下がらなければ、価格と生産費の差額分を税金で補填する所得補償の拡大に歯止めがかからなくなる可能性が大きい。

 結局、強い農業を実現するには減反との決別が必要との結論に行き着く。 コメを自由に作れるようにし、米価を市場に委ねれば価格が下がる。 そうすれば、地代の方が得になる兼業農家は農地を専業農家に貸し出すようになる。 コメの価格が十分下がれば、消費はむしろ拡大し、国際競争力もつくから、輸出余力が生まれる。 食糧安全保障上も農地が保持されて生産量に余裕があるほうが有利だ。

 民主党は平成15年までは、貿易自由化推進を掲げ、減反廃止と専業農家に対する直接支払いによる所得補償をうたっていた。 だが、翌年の参院選のマニフェストでは支払い対象は絞らないとし、衆院選を前にした20年からは減反廃止の方針も撤回した。 農家の多数を占める兼業農家の票を前にしての理念のない変遷にはあきれるばかりだ。

 

  貿 使