(2010.05.11)

 


 世界人口は爆発的に増えており、いずれ食料危機が現実になる。食料自給率を上げるのは喫緊きっきんの課題です。
 ただ、戸別所得補償制度の導入で、自給率が現在の41%から、10年後に50%へ跳ね上がるとは思えません。むしろマイナス面のほうが大きい。
 同制度は、生産費が販売価格を上回った場合、赤字ぶんを政府が補填するもの。兼業・零細農家にも適用されるので、生産性の低い農家を延命させる ことになる。
 資本主義の本質は、一所懸命に努力した人が報われること。競争のない社会は衰退します。共産主義の実験が失敗したのも、いくら努力しても報酬が変わらなかったから です。モチベーションの低下が生産性の低下に結びついた。
 日本の就農人口はピーク時の2割にまで減っており、実は、農地を集約する絶好のチャンスなのです。
 ところが、所得補償をやると、遊んでいる農地を手放す人がいなくなる。コストを下げるために経営規模を拡大するのが世界的な流れ なのに、日本だけが逆行 している。
 いま優先すべきは「強い農業を育てる」こと のはず。そのためには、企業に農業へ積極的に参入してもらい、大規模化して生産性を上げてもらうしかない。
 田舎に帰りたいけど、働き口がないから帰れないという人は意外に多い。農業はそういった人の雇用の受け皿になる。地方自治体は、固定資産税の減免などで農業法人を誘致できるよう働きかけるべきです。雇用も人口も税収も増え、地方の活性化にもつながる。
 生産性の低い農家が淘汰されるというなら、セーフティネットを張ればいい。農業法人への転職を保障したり、農業指導員として派遣したり。また、やる気のある新規就農者の支援も怠ってはいけません。
 日本産の米や果物が、中国の富裕層の間で人気を集めています。日本の農業は、ものすごいポテンシャルを秘めているのです。
 人口の減る日本市場だけでは限界がある。クルマや家電などのように、農業だって世界に出るべきです。そのために関税を撤廃し、農産物の輸出入を完全自由化する。大規膜化でコストを下げ、生産性を上げることさえできれば、品質の高い日本の農業は世界で勝てます
 参考になるのがオランダ。かつては日本と先進国最下位を争う低自給率でしたし、いまも60%程度。ところが、この5年で食料品輸出額を倍増させ、アメリカに次ぐ世界2位に躍り出た。ちなみに耕地面積は日本の2割しかありません。
 オランダの「産官学協同」は徹底しています。「フードバレー」には、農業大学のワーヘニングン大学や20の研究機関のほか、キッコーマンなど世界中の食品企業1500社を誘致している。農業立国に向けた明確な国家戦略がある。